COLUMN

Produced by Ryoko Kuwana

トーク&スピーチ

Professional of Talk and Communion

手越祐也さんのトーク心理分析 <自信・緊張・強い意思>

トーク・スピーチ


昨日行われた手越祐也さんのジャニーズ退所についての記者会見は、多くの質問にも答え、長時間に渡って行われました。


この会見から、手越さんのトーク心理を分析していきましょう。


記者会見で見えた大きな特徴は8つ


このときのしゃべり方の大きな特徴は8つです。

  • やや早口(呼吸がやや早め)。
  • 一語一語をしっかり発音。ボリュームはやや大きめ。
  • 笑顔はほぼない。
  • ソロトークの際、会場を見ているが、会場にいる「人」は見ていない。
  • 両手も体をほぼ動かさない。
  • 表情の変化はあまりない。
  • 文面を読まず、台本を頭に叩きこんでから話しているわけではなく、ほぼフリートーク。
  • NEWSを絶賛


さて、これらの特徴は、手越さんのどんな気持ちを表しているのでしょう。


通常よりもやや早口になるときの4つの感情

通常よりもやや早口になり、間を詰めて話すときは、「言いたいことが明確であるとき」「緊張が伴うとき」「苦しい(又は悲しい)とき」などに現れる状況です。


今回の場合は、その4つの感情がすべて交錯していたと見受けられます。

今回の場合、手越さんはの感情は、


*これからの展望を伝えたい(言いたいことが明確)
*注目される記者会見の場に立つ緊張
*退所することへの苦しさ、悲しさ
*自粛期間中の行動について弁解したい

この4つの感情が交錯して「通常よりもやや早口」なったのでしょう。


冒頭の静かな笑みは自分へのエール

記者会見で手越さんが登場したとき、静かに笑顔を見せ、緊張などしていないように感じさせましたが、これは自身への「落ち着けコール」であり、決して余裕の笑みではないと見受けられました。

なぜなら、「笑み」が続いていないからです。


余裕のある笑顔ならば、もっと持続し、表情は急変しません。

ですが、手越さんは、優しく微笑んだ後、あっと言う間に真顔に戻ります。

緊張と、意識的な自分へのエールを込めた笑顔だったようです。


■しっかりした滑舌

会見中は、一語一語を通常よりもはっきり発音しています。

これも、「言いたいことが明確であるとき」「緊張が伴うとき」どちらでも現れる状況です。

今回は、はやり両方の思いが交錯しています。

*自分の気持ちはブレずにしっかり的確に言いたい。(意思伝達)
*ちゃんと話さないときっと分かってもらえない。だから滑舌を緩めてはいけない。(緊張)

二つの感情が交錯しているようです。

「意思伝達」だけが目標であれば、滑舌を緩めたり、大胆な間を挿入することができます。

そのほうが聞いている人に伝わりやすいからです。

ですが、「ちゃんと話さないと分かってもらえない」という緊張が伴うと、無意識に滑舌を緩めたり、大胆な間を挿入することを避けています。

■会場を見回しても会場の「人」に視線を合わせてはいない


また、最初に一人で話したとき、会場を見ながらも、会場の人に視線を合わせず、空間を見ていたのも、ちょっとした緊張の表れです。
質疑応答では、手越さんが会場の雰囲気に慣れてきたことと、ひとりだけでしゃべるわけではないので、緊張も緩み、しっかりと質問者に視線を合わせていますが、冒頭では、「人」に視線を合わせられなかったようです。

どんな人でも大人数の前でマイクを持ったとき、緊張していると、なかなか聴衆に視線を合わせることができません。逆に無理やりでも視線を合わせてしまうと、自信があるように見えるものです。

とはいえ、人前でマイクを持つと、視線を合わせられないという方が、合わせたように見える奥の手もあります。
これは、また別の機会に。



■ 少ない笑顔で意思表示

手越さんは、表情筋をほぼ動かさず、笑顔を作らないのは、「チャラチャラした面は絶対に見せない」という意思の表れだと推測します。

決してパリピ的な人間ではなく、本気で生きているし、仕事にもボランティアにも一生懸命である。将来のこともきちんと考えているんだ。ということをどうしても伝えなければいけない。という気持ちが強いため、笑顔を避けたと思われます。

笑顔というシグナルは、余裕、優しさ、暖かさ、人柄の良さ、聡明さなど様々なポジティブな意味合いを持ちますが、「曖昧」「いい加減」というともすればネガティブに捉えられてしまうシグナルにもなるため、この場では、極力避けていたのでしょう。

体や表情をあまり動かさないのも同じ理由です。


NEWSのメンバー絶賛の理由

途中、NEWSのメンバーを絶賛したのは、メンバーへの愛であり、手越さんの本音だと思います。

ですが、ここに「対比の感情」を秘めていたことは否めません。

NEWSのメンバーは大好き。けれど…、事務所は…、という反発。

言葉にできない部分です。

事務所への強い反発があったからこそ、NEWSのメンバーへの絶賛もより強いものになったのかもしれません。

だからこそ、NEWSのメンバーを絶賛した後、自身の反発の感情に気づき、あえてすぐに事務所を称賛したと分析できます。



事務所力を超えるタレント力が日本のエンターテイメント界を引っ張る

こうして手越さんの記者会見は、自信・緊張・強い意思を伴いながら、「自分の言葉」でしっかりとしゃべていました。

手越さんとジャニーズ事務所との事実関係については、当人同士でないと、本当のところは分かりませんが、ひとりのアイドルタレントがこれだけしっかりとした記者会見をするのはとても珍しいことです。

そしていつも思うのが、「事務所力VSタレント力」の割合です。

「タレント力」が高ければ高いほど、魅力、未来、影響力、自立性が高く、多くの人に力を与えられます。

事務所力がタレント力を大幅に超えている状態では、限界があり、エンターテイメント界のクオリティー上げることもできません。

さらには事務所力を自分自身のタレント力だと勘違いしているような演者が増えれば、日本のエンターテイメント界は滅びてしまうでしょう。

ですが、手越さんは「タレント力」1本で進もうとしています。

といっても、一人きりでできるわけではないので、必ずヘルプが必要です。

「タレント力一本で生きていく」と決めたとき、「ヘルプしてくれる人」が必ず現れます。

これは、どんな世界でも同じで、例えば会社を辞めて起業すると決断し、行動に移していくと、「助けてくれる人」が表れます。

必ずです。

自立のエネルギーはとてつもなく強いため、そのエネルギーに巻き込まれるように、人々が吸引されていくようです。

次に向かうために「今まで握りしめていたものを手放したご褒美」でもあるのかもしれません。

ですから不安がらずに進めばいいのだと思います。

手越さんがこれから見せる本当のタレント力と、
どんなヘルプが登場するのかに注目しています。

 |